ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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秋の乗り放題パスの旅A
青森から苫小牧へ


 「秋の乗り放題パス」で東京から北海道の釧路まで旅をする2日目。昨日は秋の乗り放題パスが使えない盛岡から八戸までの区間は新幹線に乗ったが、それ以外は普通列車に揺られてきた。
 今日は新幹線で青函トンネルをくぐって北海道に入り、天気がよさそうなので紅葉の大沼を散策した後、普通列車で森、長万部、東室蘭を経て、苫小牧まで行くことにしている。

青森から津軽二股へ

 2017年10月18日。
 朝5時半頃にホテルを出て、真っ暗な中を青森駅へ歩いて行くと、徐々に明るくなってきた。
 青森駅に着くと列車の時間まで20分ほどあるので、港へ行ってみると綺麗に空が焼けている。かつての青函連絡船・八甲田丸を見て、青森駅に戻る。

朝焼けの青森港
青森港


 津軽線のホームに下りると、6時15分発の蟹田行きがすでに入線していて、ボタンを押して扉を開け、車内に入ると閑散としている。蟹田まで通勤・通学の客を迎えに行く電車などだろう。
 この路線は北斗星で何度も通ったことがあるが、明るい時間帯にはあまり乗ったことがない。
 津軽線は陸奥湾沿いを走っているように地図には表示されているので車窓を楽しみにしていたのだが、海との間に国道があり、住宅が建て込んでいてあまり海は見えなかった。さらに通勤型のロングシートの電車なので、旅情も感じられなかった。
 瀬瀬辺をすぎて蟹田に近づくと、ようやく海に出て下北半島が見えてきた。

青森駅・蟹田行きの始発電車
青森


 蟹田駅に6時58分に着き、7時07分発の三厩行きに乗り継ぐ。ここからはディーゼルカーで津軽二股駅まで行く。
 海から離れてJR東日本とJR北海道の分岐点として有名な中小国をすぎ、新幹線の高架をくぐると山深くなってくる。車内は高齢者が数人乗っているだけで、赤字ローカル線の雰囲気である。
 再び新幹線の高架が現れると、7時31分に津軽二股に着いた。

蟹田駅・電車からディーゼルカーに乗り換え
蟹田


 津軽二股で下車したのは私一人だけで、森に消えていく列車を見送る。駅前には小さな道の駅のようなのが一軒あるだけで、辺りは田んぼが広がっている。
 その何もない風景に異彩を放つように奥津軽いまべつ駅が建っていて、ここから北海道新幹線に乗り換える。

津軽二股
津軽二股


 何もないのですることもなく、新幹線の時間までの40分ほどを待合室で休憩。
 駅スタンプには「日本一小さい新幹線のまち」とデザインされているが、田んぼの向こうの道路に沿って住宅が何軒か見えるだけで、人っ子一人いない。

奥津軽いまべつ
奥津軽いまべつ


奥津軽いまべつから新幹線で大沼へ

 秋の乗り放題パスの旅では、本来なら北海道新幹線オプション券を買って、木古内から道南いさりび鉄道に乗らなければならないのだが、そんなことをしていたら苫小牧に着くのは23時すぎになってしまうので、終点の新函館北斗まで乗ることする。
 オプション券よりも3000円ほど多くかかったが、苫小牧には5時間も早くつける。

奥津軽いまべつ・新幹線はやて
奥津軽いまべつ


 8時13発のはやて93号に乗ると車内はガラ空きで、JR北海道の職員さんにアンケートを求められる。青函トンネルをくぐり木古内をすぎると、9時03分に新函館北斗に着き、10分後のスーパー北斗に乗り換える。  普通列車は2時間後なので、乗車券は大沼公園まで買い、乗り継ぎ割引の特急券(150円)も買っておいた。これで大沼での散策時間を捻出できる。

新函館北斗・スーパー北斗
新函館北斗


 大沼公園に着くと、紅葉が始まっているので観光客が多い。次の列車まで2時間半もあるので、島巡りの路を駒ヶ岳を眺めながらゆっくりと散策する。時間があるので、踏切を渡って大沼の西側の小沼にも脚を延ばした。

紅葉の大沼と駒ヶ岳
大沼と駒ヶ岳


大沼公園から森へ

 最後は退屈したが大沼で2時間半をすごし、大沼公園11時43分発の森行き普通列車に乗る。2両編成だが車内はガラ空きで、後ろの車両は私一人の貸し切り状態であった。

大沼公園・森行き普通列車
大沼公園


 赤井川で函館行きの特急とのすれ違い、駒ヶ岳でも普通列車との待ち合わせがあり、かなりの時間停車する。
 昨年廃止された東山駅と姫川駅を見ると、森に12時21分に到着。連絡橋からは、背後に駒ヶ岳と噴火湾がよく見える。

森駅と渡島駒ヶ岳
森駅と渡島駒ヶ岳


 次の列車まで1時間20分ほどあるので、森の町を散策する。
 私は自分で旅行の計画を立てたいので、四季島のような観光列車は好きではないが、ちょうど運行日というので、噴火湾や駒ヶ岳が見える撮影地へ行ってみたが、少しだけ間に合わなかった。
 その後、森に着く上りの北斗がやって来た。時間があるので、下りのスーパー北斗も見る。昨年は廃止前の桂川駅まで歩いたが、今日は森駅に戻る。

噴火湾と特急北斗
噴火湾と特急北斗


 駅前の商店で名物の「いかめし」を買う。近年はイカが不漁だそうで、また値上げされている。昨年は650円だったが、今度は一気に130円も上がって780円。
 この駅弁はとても美味しいが、量の割りには値段が高すぎる感がある。噴火湾で獲れたもではなく、昔から外国産のイカを使っているそうだ。
 ホームに下りて13時46分発の長万部行きに乗車。隣には函館行きのスーパー北斗が入ってきて、数人の乗客を降ろした。

森駅。普通列車から見たホーム


森から苫小牧へ

 好きな噴火湾の車窓を見ながら、ゆっくりと「いかめし」を食べ、至福な時間を過ごす。車内は地元の高齢者が数人乗っているだけだである。

森のいかめし
いかめし


 14時58分に長万部に着き、15時26分発の東室蘭行きに乗り継ぐ。夕方が近ずいて風が冷たくなってきた。

長万部駅・東室蘭行き普通列車
長万部


 長万部を出て何度かトンネルをくぐると車内がそわそわしだした。秘境駅の小幌が近づいたからだ。
 この列車には割と乗客がいるなぁと思っていたのだが、なるほど、小幌が目的だったんだなと思う。ただ、下車する人はいなかった。

秘境駅の小幌
小幌


 洞爺、伊達紋別とすぎると車内は徐々に高校生で混んできて、東室蘭に16時55分に着いた。3分後の列車に乗り継ぎ、18時09分に苫小牧に着くと真っ暗である。今晩は苫小牧で宿泊する。

苫小牧駅
苫小牧


 明日は苫小牧から始発の室蘭本線で追分へ向かい、、石勝線、根室本線と乗り継いで釧路まで行く予定である。明日も朝が早い。
 (つづく)

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