ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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東京〜北海道 各駅停車
(2日目)
函館から倶知安へ


 昨日は早朝に東京を出発、秋の乗り放題パスを利用して普通列車を乗り継ぎ、福島から奥羽本線経由で青森までやってきた。到着したのは22時50分であった。
 16時間ほどかかって疲れたので、青森駅前のホテルに転がり込みたかったが、フェリーターミナルまで30分ほど歩き、2時00分発の青函フェリーに乗船、函館へ向かっている。
 大部屋の2等室は土曜の深夜だが空いている。津軽海峡を航行するエンジン音や振動が大きく熟睡はできないが、横になれるだけでもありがたい。
 3日目の明日は羊蹄山の登るので、2日目の今日は函館から倶知安まで行く予定である。

倶知安駅から見た羊蹄山
倶知安駅から見た羊蹄山

函館から大沼へ

 2018年10月14日。
 大きなエンジン音と振動で何度か目を覚ましたが、少しは睡眠がとれたようだ。大音量の放送で叩き起こされ、5時50分に函館のフェリーターミナルに着いた。
 すでに夜は明けていて対岸に函館山が見えている。徒歩で乗船した人は、全ての車が降りてからの下船となる。
 バスのない時間帯なので、海沿いをゆっくり歩いて函館駅へ向かう。五稜郭駅の方が近いが何か食べたいので、倉庫街のような道を45分ほど歩く。

函館フェリーターミナルから見た函館山
フェリーターミナルから見た函館山

 駅前の朝市で軽く朝食を摂り、青函連絡船の摩周丸を見たりしてから、7時17分発の大沼公園行きに乗る。緑のラインのキハ40を見ると北海道に来たなぁという気持ちになる。
 ゆうゆうとボックスシートに座っていると、発車間際になってだいぶ混んできた。隣に座った人に尋ねると、大沼でマラソン大会があるそうで、ランニングの格好をしている人が多い。

函館駅・キハ40
函館

 北海道新幹線の新函館北斗から山間に入り、仁山をすぎてトンネルをくぐると、左窓に小沼と駒ヶ岳が見えてきた。太陽は見えないが雲が高いので、駒ヶ岳の美しい稜線がくっきり見えている。
 8時10分、終点の大沼公園に着いた。長万部行きの列車は約1時間後なので、紅葉の大沼を散策するにはちょうどよい。

大沼公園駅・キハ40
大沼公園

 島巡りの路や森の小径を歩いて駒ヶ岳を眺める。紅葉のピークにはまだ早かったが、大沼の湖畔は清々しく、マイナスイオンを浴びたような気持ちになった。

大沼と駒ヶ岳
大沼と駒ヶ岳

大沼から長万部へ

 9時08分発の長万部行きが到着すると、函館からの乗客がたくさん降りてくる。赤井川、駒ヶ岳とすぎると次が森である。
 駒ヶ岳と森の間には、秘境駅の東山と姫川があったが、2017年に廃止されている。駒ヶ岳の裾を右に左に大きくカーブしながら下って噴火湾に出ると、森に9時34分に着いた。
 下りの特急スーパー北斗に抜かれたり、上りの列車との行き違いがあるので、森では33分も停車する。大沼は曇っていたが、森では青空が広がってきた。

森駅から見た駒ヶ岳
森駅から見た駒ヶ岳

 森の名物は「いかめし」である。今回は買わないが、イカが不漁とかで、また値上がりしたようだ。
 しばらく駅付近を散策して、車内に戻ると海側の席がほぼ埋まっている。森から乗った人はほとんどいないから、特急から乗り継いできた人たちだろう。
 わざわざ普通列車に乗り換える気持ちは分かる。私もこの先の噴火湾の車窓をゆっくり楽しみたかったが、日曜日なので混むのは仕方がない。

森駅から見た噴火湾
噴火湾

 11時19分に長万部に着き、次に乗る倶知安行きは13時18分発なので2時間の余裕がある。まずは、駅近くで「かにめし」のランチ。長万部(おしゃまんべ)はアイヌ語でカレイの獲れる所の意味らしいが、カニが名物である。
 長万部は函館本線と室蘭本線の分岐点で、その分かれ目にすごい高さの跨線橋が架かっている。この跨線橋を渡った先に天然ガスの採掘で噴出した温泉街があるのだが、温泉に浸かるとビールなど飲んで、ゆっくりしたくなってしまうので自重する。
 跨線橋の上からしばらく列車を眺めていると、札幌行きのスーパー北斗が煙を吐きながら室蘭本線へ入っていった。上から見るとくねくねとして大蛇のようだった。

長万部を出る札幌行きのスーパー北斗
長万部

長万部から倶知安へ

 そろそろ倶知安行きの列車の時間なので駅に戻ると、入線している1両のキハ150の前に20人ほどの行列ができている。羊蹄山が見える右側の席はすぐに埋まってしまったので左側に座る。倶知安までは約2時間40分かかる。

長万部駅・キハ150
長万部

 長万部を出て二股をすぎると蕨岱(わらびたい)という駅があったが、2017年に廃止されている。蕨岱はJRの駅で50音順の最後の駅だったという。
 ブナの北限である黒松内で上り列車との行き違いがあり、山に分け入っていく。しばらく走ると昆布という駅がある。
 花咲線の昆布盛は海沿いで昆布の産地だが、こちらは山の中である。名前の由来は近くにコブ山があるとか、巨大津波がここまで昆布を運んできたという説があるらしい。
 ニセコあたりまで来ると羊蹄山が見えてきた。すっきりとした青空に羊蹄山が映えている。本当は今日、羊蹄山に登りたかったのだが、仕事の関係で一日ずれてしまった。
 明日、登山を開始する比羅夫をすぎると、14時57分に倶知安に着いた。だいぶ雲が出てきて、明日も晴れるとよいのだが…。

倶知安駅から見た羊蹄山
倶知安駅から見た羊蹄山

 駅近くのホテルに入ると、部屋の窓から裾を広げた羊蹄山が大きく見える。強行軍による寝不足なので、今日は早めに休もうと思う。
(つづく)


 東京〜北海道 各駅停車10日間
 【1日目】東京から奥羽本線で青森へ
 【2日目】函館から倶知安へ
 【3日目】比羅夫駅から羊蹄山に登る
 【4日目】千歳駅から支笏湖、紋別岳へ
 【5日目】小樽の手宮線跡と旭展望台
 【6日目】留萌本線の恵比島駅と廃線跡