秋のオホーツクを歩くオホーツク海に最も近い駅・北浜2016年11月。釧路6時02分発の網走行きの普通列車に乗り、北浜に9時02分に着いた。乗車時間はちょうど3時間である。下車するとホームの目の前がオホーツク海だ。 北浜駅 列車を見送って、しばらくホームに佇む。午後から天気は下り坂ということで少し波が荒いようである。流氷の時期はどんな感じなのかと思う。 今日のこの後の予定は、網走13時26分発の「オホーツク6号」に乗れればよいので、4時間半ほどある。 ホームから一軒家のような駅舎に入ると、壁や天井一面に名刺やきっぷが貼られている。天井のは脚立でも持ってきて貼ったのだろうか。椅子や肩車では届かない高さだ。 駅舎には停車場という名のレストランが併設されている。食事をしたかったが、まだ9時なので開いていない。 北浜の駅舎内に貼られたきっぷ等 その昔、さすらい刑事旅情編というドラマで、刑事役の三浦洋一さんと植草克秀さんがここでコーヒーを飲みながら打ち合わせをするシーンがあった。 その後に関口知宏さんが最長片道切符の旅でハンバーグ定食を食べていたのを思い出した。 駅舎の隣には小さな展望台があり、上がってみると知床連山の海別岳と羅臼岳だろうか、山頂は雲を被っているが長く引いた裾が見える。 ここから藻琴駅まで歩いていくつもりだが、まずは北浜郵便局へ風景印を貰いに行く。 郵便局は斜里方面へ500mほど行ったところにあって、すぐ先には湯沸湖が見える。湯沸湖はラムサール条約登録湿地で、白鳥の飛来地として名高い。オオハクチョウやオオワシ、タンチョウなど一年を通して様々な鳥が訪れるという。 湯沸湖 北浜郵便局の風景印も、湯沸湖とオオハクチョウ、傍らにハマナスという図案であった。 北浜駅から藻琴駅へ歩く北浜駅へ戻り、オホーツク海に沿って国道244号線を西へ、3km先の藻琴駅に向かう。線路と海との間には堤防などなく、熊笹などの草原になっており、波打ち際は線路のすぐ先だ。打ち寄せる波の向こうに能取岬の断崖が見える。 オホーツク海を見ながら歩く やがて左にヨシの茂る藻琴湖を見ると少し街らしくなって、10時すぎに藻琴駅に着いた。 高倉健さん主演の映画「網走番外地」の網走駅として、この藻琴駅が撮影で使われたという。北浜と似たような木造の駅舎で、こちらにもトロッコという名のレストランが併設されている。 次の網走行きの列車は、11時48分発の「快速しれとこ」があるが、2時間も待つことはできない。事前に時刻表で調べると、10時22分発の網走行きのバスがあり、これに乗ることにしていた。まだ20分ほどあるので、行けるところまで歩いてみる。 藻琴駅 国道は線路を跨いで海沿いを行くようになると、西洋のお城のような建物が現れたが廃屋のようだ。後で調べるとオホーツクマリンパレスというドライブインで、現在は心霊スポットになっているらしい。確かに夜になれば不気味な感じの建物である。 路線バスで網走市街へ時間になったので、すぐ近くの佐々木漁場前という停留所からバスに乗ることにした。鱒浦駅をすぎ、海から離れて高台に上がると、大きな街が広がっている。こんなところに街があるのかと意外に思ったが、網走の市街地というのは駅前ではなく、こちらなんだなと分かった。 整然と区画された市街地を走り、やがて海への坂道を下っていく。網走の一つ前の駅である桂台から再び歩いて行くことにした。 網走川沿いの遊歩道は、薄っすらと雪で白く海からの風が冷たい。駅への道中で昼食を摂って、11時50分に網走駅に着いた。駅前には縦書きの大きな駅名看板がある。 網走駅の縦看板 刑期を終えた受刑者が故郷へ帰る際に、「この縦書きの看板のように、横道にそれることなく、まっすぐ歩んで生きて行って欲しい」との願いが込められていると、説明板に記されている。 網走から美幌へオホーツクを歩いた後は、特急オホーツクに乗る。網走13時26分発のオホーツク6号札幌行きで旭川へ向かう予定だが、まだ1時間半もある。観光するには時間が少ないので、12時04発の遠軽行き普通列車に乗って、どこかで途中下車することにした。 網走駅・遠軽行き普通列車 網走の市街地をすぎると右に網走湖が見えてきた。冬季は全面結氷してワカサギ釣りで賑わうという。子どもの頃からテレビ等で見て、ワカサギ釣りを一度やってみたいと思うのだが寒そうだ。 女満別の手前で網走湖の風景に惹かれ、下車しようかと腰を浮かしかけたが、時間を持て余しそうなので、美幌まで行くことにする。 美幌に12時40分に着き、約1時間、駅前を散策する。駅舎は木造風で時計台があってレトロだ。駅前の道路は、北海道の他の駅と同様に、広く閑散としている。 美幌駅の駅舎 ここから国道243号線を行けば、美幌峠を越えて屈斜路湖へ行けるようだ。標高525mの美幌峠は屈斜路湖を一望できるビュースポットだという。もう何もすることがないので駅に戻る。 私は乗ったことはなくテレビ等で見ただけであるが、かつてこの駅から出ていたという相生線に思いを馳せる。1985年に廃止された相生線に伴う転換交付金で現在の駅舎に改装されたらしい。 特急オホーツクで旭川へ13時52分発のオホーツク6号に乗り、旭川へ向かう。私の乗った指定席の車両は、時間帯なのか乗客は10人ほどと少ない。美幌で特急オホーツクに乗車 北見をすぎて留辺蘂(るべしべ)まで来ると、晴れているが15cmくらいの積雪がある。 ここから登りとなり、人柱の残酷伝説で知られる常紋トンネルを抜け、下りとなって生田原をすぎると15時11分に遠軽に着いた。 ここでスイッチバックして進行方向が変わるので4分ほど停車する。暗黙の了解で、乗客はみんな座席を回転させて座り直す。 かつて、この遠軽からオホーツク沿岸の紋別、興部、そこから内陸に入って宗谷本線の名寄まで、名寄本線が走っていたが1989年に廃止になっている。スイッチバックになっているのはその名残である。 スイッチバックの遠軽駅 駅近くにある高さ78mの瞰望岩は国指定の名勝で、登るとオホーツク海が一望できるという。いつかここからオホーツク海に出て、紋別あたりで流氷を見たいと思っているが、瞰望岩をついでに登るのは冬なので無理だろう。 遠軽からはオホーツク海に注ぐ湧別川に沿って緩やかに登って行く。遠軽までは晴れていて積雪もそれほどではなかったが、丸瀬布辺りから天候が変わり、白滝に着くころには吹雪になった。 街灯がともりはじめ、建物の屋根には20cmくらいの雪が積もっていて寒そうだ。吹雪に晒されている白滝という駅名標を見て、しらたきの入った熱々のすき焼きが食べたくなった人もいるのだろう。 雪が降り続く白滝駅 吹雪の中を列車は徐行運転となり、ゆっくりと北見峠を石北トンネルで抜け、石狩に入ると上川に着いた。白滝よりも雪が積もっている。 旭川には10分ほど遅れて17時20分着。駅ビルを出ると、雪が降りしきっている。 明日は、12月に留萌〜増毛間が廃止される留萌本線に乗る予定だが、天気が心配だ。 (つづく) |
北海道 果てしない旅 |
北斗星の輝き 南の果て襟裳岬へ 東の果て納沙布岬へ 本土最東端から歯舞へ 釧網本線と釧路湿原 秋のオホーツクを歩く 北の果て 宗谷岬へ |