ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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北斗星で上野へ


 今日は北海道全線フリーきっぷの5日目、最終日である。5日間有効のきっぷだが、寝台列車に乗れば翌日の終点まで乗ることができるので、北斗星で帰京することにしている。
 チェックアウトは11時なので、それまで函館を観光する。ホテルを出ると空はどんより曇っていて、今にも雨が降りそうなのでで、函館山へ登るのはまた今度にしようと思う。

函館駅
函館駅

雨の函館

 2014年11月13日。
 まずは函館朝市のどんぶり横丁をぶらついて、安い店を探して海鮮丼を食べる。7時頃から開店しているので嬉しい。
 食べ終わって外に出ると雨がポツポツと降り出してきたので、元町の教会などを散策するのはやめて、函館市電の一日乗車券を買ってぶらぶらすることにする。

函館市電と函館山
函館市電と函館山

 函館どっく前、谷地頭から湯の川まで途中下車したり、街並みを眺めながら往復して、ホテルに戻る。今夜は北斗星に乗るので、シャワーを浴びてチェックアウト。
 夜まで列車に乗って、のんびり車窓を眺めようと思う。札幌か苫小牧か東室蘭か、どこから北斗星に乗るのかは決めていない。

行くあてもなく乗り鉄

 函館12時29分発のスーパー北斗の自由席は、中国人観光客で満員なので、デッキにって車窓を眺める。  駅の窓口で貰ったポケット時刻表を見て、森で普通列車に乗り換えることにした。大沼の紅葉は終わっていて、駒ヶ岳の雲の中だ。

函館発のスーパー北斗
スーパー北斗

 13時6分に森に着くと駅前の温度計は3℃と表示している。売店で名物の「いかめし」を買って、13時29分発の長万部行き普通列車に乗ると、満員だった特急とは打って変わって乗客は数人だけであった。
 いかめしを食べながら、寂しい雰囲気の噴火湾を眺める。時折、青空も覗いていたが、落部あたりまで来ると雪がちらほらと降り出し、中ノ沢のホームは薄っすらと白くなっていた。

噴火湾の車窓
噴火湾

 14時47分に長万部に着き、ちょうど30分後の北斗に乗り継ぐ。とくに目的はないので、まだ降りたことがない伊達紋別で途中下車してみる。二階建ての駅舎には煙突があり、洋館のような建物であった。

トワイライトエクスプレス

 次はどうしようかと時刻表を見ると、トワイライトエクスプレスが洞爺にしばらく停車していることが分かり、上りの北斗に10分ほど乗って見にいくことにする。
 洞爺に着くと大阪行きのトワイライトエクスプレスが濃い緑色のかっこいい車体を連ねている。トワイライトエクスプレスを見たのは初めてで、もう乗ることもできないので目に焼き付ける、というほど思い入れもないが見送る。

洞爺駅・トワイライトエクスプレスのテールランプ
トワイライトエクスプレス

 日が暮れて暗くなった中を赤いテールランプを滲ませて去っていくトワイライトエクスプレスを見送り、16時54分発のスーパー北斗、札幌行きに乗る。駅弁を買おうと思っていたが、洞爺駅には売っていなかった。
 札幌まで行って北斗星に乗ろうかとも考えたが、真っ暗で車窓もつまらないので、久しぶりに登別で降りることにする。かなり行き当たりばったりになってきた。
 駅舎にあるヒグマのケイ太くんの剥製や外でライトアップされているこん棒を持った赤鬼を見ていたら、寒いので温泉に行きたくなってくる。

夕方の登別駅
登別駅

 あと1時間もあるので、下りのスーパー北斗に乗って東室蘭へ行き、そこから北斗星に乗ることに決めた。
 車内は混んでいたのでデッキに立っていると、車内販売のお姉さんが来て声をかけれれた。とても愛想がよかったので、つい夜と朝の駅弁を2つ買ってしまう。
 10分ほどで東室蘭に着くとあと40分ほどあるので、コンビニへ行ってサッポロクラシックを仕入れてきた。

北斗星で帰京

 しばらく寒いホームで待っていると、何人か写真を撮りに来た人がいる。ようやく18時54分発の北斗星がやってきた。

東室蘭駅・北斗星
北斗星

 北海道全線フリーきっぷの有効期限は今日までだが、寝台列車の場合は翌日の下車する駅まで有効である。
 私が乗ったのは、Bコンパートという4人用の簡易式個室で誰もいなかったが、伊達紋別から高齢の女性が一人で乗ってきた。東京に住んでいる息子さんが上野に迎えに来るのだという。
 21時49分に函館を出てベッドに横になると、その女性のベッドから変な音が聞こえてくる。どうやら入れ歯か何かを磨いているようだ。いったい何をやってるんだと思いながらも、疲れていたのかすぐに熟睡できて、目が覚めると6時を過ぎていた。

北斗星のB寝台
B寝台

 11月なので、まだ津軽海峡冬景色ではないが、青森あたりが強風だったらしく、上野に着いたのは定刻の約1時間遅れであった。


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北斗星で上野へ

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