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陰陽道を行く 青春18きっぷの旅 (2日目) 観光は鳥取砂丘と天橋立の2本立て
昨日、自宅のある神奈川県の藤沢から鳥取まで、普通列車を乗り継いでやってきた。途中、智頭急行の区間だけ特急に乗ったが、JRの区間はすべて普通列車で耐え、14時間半かかって20時38分に鳥取に着いた。
今日は鳥取砂丘を散策した後、山陰本線で豊岡へ出て京都丹後鉄道に乗り継ぎ、天橋立や由良川橋梁を見に行こうと思う。
ところで、山陰本線はローカル線で本数が少なく、普通列車を乗り継ぐには時刻が限られてくる。
時刻表をあたっていると、鳥取発9時45分の浜坂行きに乗るしかないことが分かった。その次の列車は12時15分発なので、天橋立に着く頃には営業終了の時間になってしまう。
 京都丹後鉄道・由良川橋梁
鳥取駅から鳥取砂丘へ
2025年4月4日 金曜日
ホテルを6時半に出て鳥取駅へ歩く。肌寒いが晴れていて気持ちがよい。朝の時間帯は鳥取砂丘へ直接行くバスがないので、7時ちょうど発の岩井温泉行きに乗り、20分ほどの砂丘東口で下車する。
バスは市街地を出ると丘を登っていく。川沿いの桜が満開である。砂丘東口で下車、10分ほど緩い登り坂を歩くと、ドライブインレストランの砂丘会館に着いた。
鳥取駅へ戻るバスは8時52分発なので、1時間半ほど散策できる。これだけあれば十分だろう。
砂丘会館から階段を上って砂丘に入ると、馬ノ背と呼ばれる標高46mの砂の壁の奥に日本海が広がっている。
 鳥取砂丘
鳥取砂丘の大きさは東西約16km、南北約2.4kmだが、国の天然記念物に指定されているのは、ここから見えている砂の部分の東西1.5kmほどらしい。
なので、思っていたよりも小さく感じる。入口から海岸までは500mほどで、歩いて10分もかからなかった。
日本海を泳いでいる「くじら」の形をした海士島(あもうじま)を眺めて、標高46mの馬ノ背を登る。
入口から見るとたいした高さではないと思ったが、下から見上げると大きな壁で迫力があり、崩れる砂に靴が埋まりながら頂上まで登ると360度の展望が広がった。
日本海からの風が吹きつける砂には、風紋なのかさ砂柱なのか、それとなく模様がついている。
 鳥取砂丘から見た日本海とクジラ島
馬ノ背の下には湧水が溜まった池であるオアシスがあり、夏は干上がるという。真夏は灼熱地獄なのだろう。
8時をすぎると徐々に観光客が増えてきた。そろそろバスの時間なので引き返す。
砂丘を出て靴底の砂を落とし、砂丘東口バス停へ戻る。バスに乗り、20分ほどで鳥取駅に着く。
列車の時間までまだ30分あるので、鳥取中央郵便局で風景印を捺してもらう。しゃんしゃん傘の縁取りに鳥取砂丘とラクダが描かれたデザインであった。
鳥取から山陰本線で豊岡へ
山陰本線は本数が少なく、鳥取駅は電化すらされていない。そこがいいとも言えるのだが、9時45分発の浜坂行きの普通列車はディーゼルカー1両にも関わらず空いていた。
 鳥取・浜坂行き普通列車
発車して20分ほどの大岩に近づくと、観光客の何人かがそわそわしだした。大岩駅に着くと桜が満開で、無人駅のホームが賑わっている。
田園風景が広がる沿線に100本ほどの桜が植えられていて、山陰本線の名所らしい。 下車してみたくなったが、降りるわけにはいかない。
名残惜しいが、満開の桜に見送られて大岩駅を出る。長閑な風景を眺めながら終点の浜坂に10時28分に着いた。
浜坂での乗り継ぎは4分しかないので慌ただしい。ここまでは形式は知らないが新しいディーゼルカーだった。浜坂発10時32分の城崎温泉行きの車両は、因美線でも乗った古いキハ47の赤い車両、通称たらこ色である。
赤い車両を見ると、ローカル線だなぁと思う。私が小学生くらいの頃、とくに鉄道好きではなかったのだが、ニュースで廃線になった映像が頻繁に流れたのを覚えている。
廃線になる線区で走っているのは、必ずと言ってよいほど赤いディーゼルカーだったので、赤い車両だから赤字ローカル線と言うのかと思っていた。
浜坂から城崎温泉間での楽しみは、日本海の車窓と余部鉄橋である。
14分で餘部に着くと、何人か下車した。ホームにも10人ほどの観光客が写真を撮っている。降りてみたかったので、旅行前に時刻表で検討したのだが、余りにも列車の本数が少なく断念。
車窓の写真を撮っても、車内の蛍光灯が反射したりして、結局はゴミ箱行きになるのだが、余部鉄橋からの風景は特別感があるので窓を開けて撮った。
 余部鉄橋から見た日本海
餘部からは日本海の断崖に沿って走る。トンネルに入って出ると入江という風景が繰り返される。鎧、香住と日本海の眺めがよく、何度でも乗りに来たくなる風景である。
11時30分に城崎温泉に着くと、ここからは電化されている。10分の待ち合わせて、福知山行きに乗り込む。113系だろうか、緑色の電車でこれまた古い昭和の車両である。
 城崎温泉・福知山行き
ところで、鳥取からずっと70歳くらいの高齢者が高級なカメラを持って車内をうろうろしている。事あるごとに車窓の写真をカシャカシャとシャッター音を響かせながら撮っていて、1000枚は撮っていると思われる。
まったく落ち着きがない幼稚園児のようで、こうはなりたくないものだ。
城崎温泉から14分で豊岡に着き、京都丹後鉄道に乗り換える。
この旅に出るまで、北近畿タンゴ鉄道と思っていたのだが、平成15年に京都丹後鉄道になっていたらしい。私も北近畿より京都と冠した方がよいと思う。それとカタカナでのタンゴは団子のような感じがして違和感があった。
京都丹後鉄道は、国鉄再建法によって建設がストップした宮津〜福知山間の路盤を地元が引き取り、1988年に第三セクターの宮福鉄道として開業したのが始まり。
その後にJRが赤字で手放した西舞鶴〜豊岡間の宮津線も引き受けて北近畿タンゴ鉄道に改称された。
 豊岡駅
西舞鶴行きの列車は12時46分発。1時間ほどあるので、ここで昼食をしようと思う。事前に調べてきたのは、この出石地方の名物である「皿そば」である。5枚の皿にそばが小分けに盛られているのが通常だという。
昔は、立てた箸の高さくらいに皿を積み上げなければ、一人前の男として認められなかったらしい。盛岡のわんこそばのような感じなのかも知れない。
駅前に皿そばを出す店があったので、そこに入ったが客は一人しかいなかった。マズい店なのかとも思ったが、生卵と山芋がついていて、黒いそばは美味しかった。
 皿そば
「並」を注文したので、量がもの足りなかったが満足した。まだ時間があるので、近くの豊岡千代田郵便局まで風景印をもらいに行く。
円山川から見た来日岳に天然記念物のコウノトリ、鞄のデザインであった。豊岡の特産は、昔は柳行季、今は鞄。風景印も昔は柳行季が描かれていたらしい。
豊岡から京都丹後鉄道で天橋立へ
時間になったので京都丹後鉄道の豊岡駅へ。券売機できっぷを買ってホームに入ろうとすると、「お客さん」と呼び止められた。
外からは無人駅に見えたのだが、振り返ると建物の陰に隠れた窓口がひっそりとあった。まるでパチンコ店の景品交換所のような雰囲気だ。
その窓口できっぷを見せてホームへ行くと、一両の黄色い車両がすでに入線している。
 豊岡・西舞鶴行き
乗り込むと、車窓を楽しみにしている人には最悪な、丹鉄サイクルトレインというロングシートの車両でガッカリだ。天橋立で下車するまで自転車を積み込む人などいなかった。
豊岡を出ると、次の駅である但馬三江はコウノトリの郷と改称されている。その後はしばらく久美浜湾に沿って走るが、日本海はまったく見えなかった。ロングシートでなければチラっと見えたのかも知れない。まあ、日本三景の天橋立を超える車窓などないので我慢しよう。
日本海から離れて丹後半島の基部を横断すると、かつて加悦鉄道が分かれていた与謝野に着く。この駅も開業当時の丹後山田から野田川に変わり、現在は与謝野に改称されていて紛らわしい。
やがて日本海が見えてくると14時05分に天橋立に着いた。
天橋立の展望台は傘松公園もあるが、自転車を借りて対岸へ行く時間はないので、駅から近いビューランドに行くことにする。入場料の1000円にケーブルカーとリフトの券が含まれている。
随時乗れるリフトで展望台へ上がる。ビューランドの展望台は「股のぞき」をすると、天に舞い上がる龍のように見えるので、飛龍観と呼ばれている。
 天橋立
ビューランドはSL列車が走ったり、観覧車やメリーゴーランドなど、遊園地になっていた。桜も咲きはじめている。
360度のパノラマが楽しめる飛龍観回廊から景色を眺め、天橋立を堪能して、再びリフトに乗って下る。
天橋立から由良川橋梁へ
智恵の文殊と呼ばれる智恩寺に立ち寄ってから天橋立駅へ戻り、15時22分発の列車に乗って丹後由良へ向かう。
 天橋立・西舞鶴行き
今度はクロスシートの車両なので、左側の席に座って日本海を眺めることができる。
20分ほどで丹後由良に着くと、駅へ続く通りの桜並木が満開である。桜は後で楽しむことにして、由良川橋梁へと急ぐ。15分後くらいに豊岡行きの列車がやってくるので走った。
由良川橋梁は大正12年に完成し、長さは551m。とんでもなく長い橋ではないが、河口近くで水量が豊富なので、とても絵になる橋である。
駅から10分ほどで由良川橋梁に着き、撮る場所を決めて列車を待つ。
やがて対岸を走ってくるクリーム色の車両が見え、山の中に消えた。どうやら隣の丹後神崎駅に停車したようだ。
少しすると再び列車が姿を現して、赤い由良川橋梁を渡り始めた。車内の観光客が写真を撮っているのが見える。1両の列車は1分もかからずに呆気なく渡り終えた。
 由良川橋梁
もう一枚撮ろうかとも思ったが、こんなところで1時間も待つのは退屈だし、私にはたいした写真は撮れないので、駅へ戻る。
駅の近くに郵便局があるので風景印を捺してもらいにいく。丹後由良海岸に森鴎外の「山椒大夫」の文学碑のデザイン。
若い局員さんは話し好きのようで、駅前の桜並木のことや由良川橋梁にも中国人観光客が来ますよ、など教えてくれた。
 丹後由良駅の桜並木
丹後由良から西舞鶴、福知山へ
その桜並木を眺めて、16時40分発の西舞鶴行きに乗る。由良川橋梁からの車窓を眺めて、17時01分に西舞鶴に着いた。舞鶴というのは綺麗な地名である。
京都市街で泊まって、明日は花見をしてから帰ろうと計画したが、京都市街のホテルは空いていなかった。
空いていないことはないが、桜や紅葉の時期は単なるビジネスホテルの部屋が1泊3万円、4万円などという、べらぼうな金額になっているのだ。そんな金額でも泊まる人がいるのだろう。
なので、私は福知山のホテルに泊まることにした。朝6時すぎの電車に乗れば、京都駅に8時には着ける。
西舞鶴から普通電車に45分乗って、17時53分に福知山に着いた。適当に夕食を済まし、寝不足で翌朝も早いので、早く寝ることにする。
(つづく)
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