河津桜 発祥の伊豆へ 🌸


 河津桜は文字通り、南伊豆の河津町が発祥。ルーツである河津桜の始まりの原木や、名前のついた木もたくさんあります。
 同時に菜ノ花や水仙も咲き、見頃は2月中旬〜3月上旬。それでは一足早い春を満喫しに出かけましょう。

河津桜と菜の花
河津桜と菜の花

熱海から河津へ

 始発の東海道線に乗って、熱海に着く頃に夜が明けて明るくなってきた。6時30分発の伊東線に乗り、伊東で伊豆急行の下田行きに乗り継ぐ。

熱海駅・伊東行き始発電車
熱海駅

 熱海から伊豆急下田行きの始発電車に乗り、東伊豆の海岸線を走って1時間半、河津に8時に到着。
 春霞の曇り空だが、改札口を出ると鮮やかな桜が「いらっしゃい」と出迎えてくれる。まだ早い時間帯なので観光客はほとんどいない。

伊豆急・河津駅
河津駅

河津駅から かわづいでゆ橋へ

 河津駅を出て伊豆急の線路沿いを下田方面へ5分ほど歩くと河津川に出合う。川沿いを300mほど南東へ行くと河口があり、北西へ3kmほど桜並木が続いている。
 まずは、「菜の花ロード」と呼ばれる河津川の左岸を上流へ歩いていく。どこの観光地へ行っても、冬でもソフトクリームがあるのはなぜだろう。

河津川・菜の花ロード
菜の花ロード

 河津桜は、カンヒザクラとオオシマサクラが自然に交配したもので、ソメイヨシノよりも濃いピンク色が特徴である。
 すっきりした青空であれば、もっと映えたと思うが、満開に近かいので満足だ。


河津桜

 コース中には茶店や土産物屋が建ち並んでいて、足湯処もいくつかあり、まだ寒いこの時期にはピッタリである。
 約1km歩くと、こちらもピンク色の来宮橋で、ここから上流は対岸にも桜が植えられ、さらに華やかになった。

来宮橋と河津桜
来宮橋

 この先には豊泉橋、かわづいでゆ橋が架かり、峰大橋までの約2km、川の両岸に桜を見ながら歩くことができる。私も橋を行ったり来たりしながら上流へ歩いていく。土手の斜面には、黄色の菜の花も咲いていて、川の青色と色とりどりだ。
 河津川の上流は、伊豆を南北に分ける分水嶺である天城峠。浄蓮の滝から天城を越えて湯ヶ野へという「伊豆の踊子」の舞台で、石川さゆりさんの「天城越え」にも歌われている。天城峠の手前には観光名所の河津七滝(ななだる)もある。

豊泉橋から見た河津桜
豊泉橋から見た河津桜

 伊豆の最高峰である天城山の標高は1405m。雪がたくさん積もる。河原に下りてみると、雪解けの水は冷たく、わさびが名物だけあって澄んでいる。

河津川と河津桜
河津川

 土手の斜面には、スイセンも咲いていて、ほのかにいい香りが漂ってきた。

河津桜と水仙
スイセン

 そこまで立派な感じではないが、「上河原の桜」「豊泉の桜」など名前のついた木もある。この辺りは両側から花が折り重なって、無名の若木でも桜のトンネルをくぐるようだ。

河津桜のトンネル
桜のトンネル

 「音蔵の桜」をすぎると、かわづいでゆ橋。河津駅からここまで2.4km歩いてきて、所要時間は40分ほど。
 この先も、峰大橋まで約1kmほど桜並木が続いているが、私は時間の関係でここで河津駅へ引き返す。地図を見ると、近くに踊り子温泉会館、峰温泉大噴湯公園など、温泉がある。

かわづいでゆ橋と河津桜
かわづいでゆ橋

 かわづいでゆ橋を渡って、左岸を豊泉橋まで戻る。豊泉橋から河津駅へは、河津桜の始まりという原木を見るために、河津川と別れて北側の県道を歩く。


河津川

河津桜の原木

 「役場の桜」がある河津町役場をすぎると、河津桜の発祥である「河津桜原木」が堂々と咲き誇っていて、人だかりがしている。ここまで歩いてきて、最も人が多かったのがこの場所であった。傍らには、河津桜原木物語の説明版がある。

飯田家の河津桜原木
河津桜原木

【河津桜原木物語】
 昭和30年頃、この飯田家のご主人が河津川沿いの冬枯れの雑草の中に偶然見つけた、1mほどの若木を持ち帰り、庭先に植えたのが河津桜の始まり。10年後にようやく咲き始めた花を見届けて、ご主人は永眠されたと記されている。樹齢約70年、樹高約10m、幹周約115cm。
 今では各地で咲く河津桜であるが、この木の遺伝子が受け継がれているのだ。「河津桜」と命名されたのが昭和49年、約50年の期間でこれだけ各地に広まったのは、心に響くものがあるからだろう。

河津桜原木物語
河津桜原木

 河津桜の原木を堪能して、河津駅へ戻る途中で来宮神社に立ち寄る。県道を数分歩き、小道に入っていくと平安時代に建てられたという来宮神社。
 境内には高さ24m、樹齢1000年以上という大楠があり、国の天然記念物に指定されている。

河津・来宮神社の大楠
来宮神社の大楠

 来宮神社から県道に戻ると「かじやの桜」があり、10分ほど歩くと河津駅に戻ってきた。
 近くの河津城址公園として整備されている城山(標高180.9m)に登れば、川沿いの河津桜が一望できるという。これは事前に調べてきたので予定に入っている。

かじやの桜
かじやの桜

河津城址公園へ登る

 河津駅から伊豆急の線路沿いを今井浜海岸駅方面へ歩いていくと、突き当たりに登り口があり、標柱に河津城址公園まで920mと記されている。


登り口

 登山道に入って緩やかに登っていく。やがて竹林の急な登りが続いて息が上がる。


竹林の登り

 竹林を抜けて丸太の階段を登ると、あづまやが建っていて、振り返ると北側の海が見渡せる。空気が澄んでいれば景色がよさそうだ。


海が見える

 あづまやから少し登ると、標高181mの城山山頂(河津城跡公園)に到着。25分の登りと記されていたが、慣れている人であれば15分もかからない。
 ここにも桜があるが、標高が高いからなのか、五分咲きくらいであった。

河津城跡公園
河津城跡公園

 河津城は戦国時代初めに築かれ、北条早雲によって落城したと言われている。
 休憩していると静寂の中、伊豆急の列車の音が聞こえてきた。河津から終点の下田までは15分ほどである。

河津城跡公園から見た伊豆急
伊豆急行線

 河津城跡公園からは川沿いの河津桜を一望できる。この景色を見たくて登ってきた訳だ。カーブしている箇所が、かわづいでゆ橋で、先ほどここで引き返してきた。
 河津桜まつりの期間中は、ライトアップもされるという。夜桜にはまだ寒いが、心は温まりそうだ。

河津城跡公園から見た河津川と桜
川沿いの桜並木

 河津城跡公園から下って、踊り子号で帰途についた。

伊豆急・踊り子号
踊り子号

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