函館山の夜景昨年の2014年、約20年ぶりに北海道を訪れて、旅はいいものだなと改めて実感できた。 1990年代、北海道には何度も来たことがあり、私にとって旅行と言えば北海道だ。それで今年も北海道を一週間、旅することにしたのだが、来春に北海道新幹線が開業したら遠くへ行くことにして、今回は道南の鉄道沿線をめぐってみることにする。 私は登山が好きなので、函館山、渡島駒ヶ岳、有珠山などへ、駅から登ってみるつもりだ。 東京から東北新幹線で新青森へ2015年10月24日。東京8時20分発の「はやぶさ5号」新青森行きに乗る。私の席は3列シートの窓際で、大宮に着くとほぼ満席になった。気のせいか、東海道新幹線よりも座席の幅が狭く感じる。 私の隣は女性の2人組で、軽く挨拶をすると青森へ帰るとのこと。聞き耳を立てるわけではないが、東北弁でしゃべっている。石川啄木の上野駅へそを聴きに行くという歌があるが、今は青森まで新幹線でたったの3時間である。 東京から仙台あたりまでは晴れていたが、天気は冬型の気圧配置で北へ行くほど曇ってきた。反対側の窓を見ると、岩手山も雲の中のようだ。 11時19分、新青森に着くと小雨が降っている。もちろんコートを着てきたのだが肌寒い。 スーパー白鳥で函館へ津軽線のホームへ向かい、11時30分発の「スーパー白鳥5号」函館行きに乗る。白(89)鳥なので789系とかけているのだろうか。北海道新幹線が開業すれば、青森と函館を結ぶ特急も廃止されるのだろう。 スーパー白鳥 新青森を出ると、次の青森で進行方向が変わり、津軽半島の東岸を北上していく。瀬辺地という駅を過ぎると、右窓に青森湾が見えるようになって蟹田に着いた。 蟹田を出ると海から離れて4kmほど走り、JR東日本とJR北海道を分ける中小国をすぎると津軽海峡線に入る。来春から北海道新幹線が走る路線だ。 津軽海峡線は長いトンネルを駆使して直線的に北上していく。やがて青函トンネルに突入する。 この辺りはトンネルが多く、車窓から見るだけでは、どこからが青函トンネルか分からないのだが、車内の電光掲示板で案内があった。 青函トンネルは全長53.85km、最深部は海面下240m。12‰(パーミル)の勾配で下っていき、最深部に達すると12‰の登りとなる。パーミルとは単位で、1/1000のことである。 私もこれまで何度も、青函トンネルを北斗星や快速海峡などで通ったことがあるが、来春からは新幹線のみになってしまうという。嬉しさもあるが、旅情のようなものがなくなってしまう寂しい気持ちにもなる。 それにしても、後ろに座っているオッサン2人組が大きな声でしゃべっていてうるさい。ずっと競馬の話をしているのだが、東京のことを必ず江戸と呼ぶので、余計に鬱陶しい。 青函トンネルを抜けると、やがて新幹線の線路から分かれて在来線に戻る。江差線は津軽海峡の眺めのよい路線だが、今日は小雨が降っている。 函館には13時42分に着いた。東京を出て5時間20分、便利になったなぁと思う。 函館山に歩いて登る今日の目的は、標高334mの函館山に歩いて登り、夜景を見ることである。ロープウェイで登ったことはあるが、歩いて登ってみたい。駅近くのビジネスホテルにチェックイン、荷物を預けて登山口に近い十字街へ向かう。 函館山を見上げる 市電も走っているが、夜景まで時間を持て余しそうなので、街を見ながら歩いていく。路面は濡れていて水溜まりもあるが、雨はすでに止んでいるので、山頂まで何とか歩けそうだ。 展望台やアンテナが立つ函館山の山頂を見ながら歩き、十字街の電停から坂道を15分ほど登ると、旧登山道コースの入口に着いた。 紅葉のピークはすでにすぎて落ち葉も多いのだが、黄葉は今がピークで森は黄色く染まっている。 函館山の登山口 旧登山道というのは昔の車道なので、道幅は広く勾配も比較的緩いので歩きやすい。一合目、二合目、・・・と表示があって目安にもなる。 30分ほど登ると四合目、函館山にはいくつもの登山コースがあり、ここで薬師山コースが分かれている。 薬師山は日露戦争の頃の要塞跡で、レンガ造りの砲台のような遺構が残っていて異様な雰囲気だ。標高252mの山頂まで行ってみると眺めがよく、紅葉の斜面の向こうに函館の市街地や教会群が見える。 再び四合目まで戻って、函館山の山頂を目指す。 薬師山から見た教会群 20分ほど登ると山頂が見えて駐車場に出た。車道を横切って階段を上っていくと16時20分に標高334mの山頂に着いた。 十字街から直接登ってくれば、1時間くらいの所要である。まだ明るいので観光客の数はそれほどでもない。 しばらく山頂を散策して、日が暮れるのを待つ。 函館山に到着 函館山の夜景16時50分くらいになると、街に灯りがともり始めた。そろそろいいかなと展望台へ行ってみると、いつの間にか足の踏み場もないほどの人だかりだ。満員のスタジアムのようになっている。 17時20分、完全に暗くなった。 展望台への行列に並び、ようやく最前部にたどり着いて夜景を眺め、写真を撮る。函館湾に市街の灯りがXの字のように浮かび上がっている。さすがに百万ドルの夜景と言われるだけあって美しい。 が、暗黙の了解で最前部にいられる時間は1〜2分だ。ロマンチックな雰囲気とはほど遠く、ちょっと幻滅してしまった。 函館山の夜景 今日はロープウェイが点検の期間中なので、交通機関は路線バスしかなく、混雑する前に下山したい。 バスも満員だったが早く並んだので座ることができ、車窓からも夜景が見えて、函館駅に18時半頃に着いた。 駅近くで夕食に海鮮を食べ、缶ビールや明日の食料を買ってホテルに戻る。 明日は渡島駒ヶ岳に登る予定である。 (つづく) |
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