ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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鈍行みちのくひとり旅
(2日目)
男鹿のなまはげ、
大館のハチ公と弘前城


 北海道&東日本パスの旅・2日目。昨日は東京から一ノ関まで普通列車で耐え、新幹線のやまびこ&こまちで秋田までやってきた。
 今日は男鹿や大館などを散策して弘前まで行き、弘前城から岩木山に沈む夕陽を見ようと思う。

秋田から男鹿へ

 2025年2月27日 木曜日。
 朝5時にホテルを出る。雪が凍結した道を歩いて秋田駅へ向かう。ホームに下りると5時29分発の男鹿行きはすでに入線していて、「男鹿なまはげライン」という愛称がついている。
 1両のディーゼルカーと想像していたが、3両編成の電車である。車内は閑散としていて、秋田への通勤・通学客を男鹿へ迎えにいく列車なのであろう。
 今旅の予定を立てたときは、五能線に乗るのが一番の目的だったのだが、直前になって線路補修で運休ということを知り、急遽、男鹿線に乗ることにした。
 沿線に何か名所がないかと調べると、途中の船越駅の近くに巨大なナマハゲ像があるらしいので、まずは終点まで行ってからこれを見に行こうと思う。

秋田駅・男鹿行き普通列車
秋田

 5時29分に秋田を発車、奥羽本線を20分ほど走り、追分から男鹿線に入る。やがて夜が明けて、6時22分に終着駅である男鹿に着いた。
 7時02分発の折り返しの秋田行きに乗るので、40分の散策ができる。近くに日本海に面したOGAマリンパーク展望広場というのがあるので、そこへ行ってみようと思う。
 改札を出て跨線橋を渡り、約1kmを急いで歩くと日本海に出た。太陽は見えないが雲間から朝日が漏れている。5分ほど日本海や寒風山を眺めて、慌ただしく駅へ戻る。

OGAマリンパーク
OGAマリンパーク

 高校生が続々と乗り込んで、秋田行きの列車は7時02分に発車、15分ほど乗って船越で降りると高校生もたくさん降りた。近くに高校があるようだ。
 この後、船越から乗るのは8時30分発なので、1時間10分ほどの時間がある。巨大なまはげまでは2kmほどなので十分だ。
 国道101号線に出て、八郎潟調整池から日本海へ流れ出る船越水道を男鹿大橋で渡ると、巨大なまはげが見えてきた。
 高さ15mもあるので、近くで見ると迫力がある。眺めていると雲が切れて青空が広がってきた。

男鹿の巨大なまはげ
男鹿の巨大なまはげ

 船越駅へ戻る道で、靴底がはがれた。それも両足とも。10年くらい前に買って、ほとんど履いていなかったので、粘着力が劣化したようだ。
 ローソンでアロンアルファを買い、駅前の歩道に座って応急処置をしていると、大丈夫ですか?と地元の人に声を掛けられた。ケガをしてうずくまっているように見えたらしい。
 8時30分発の電車は席が埋まっていて立ちになったが、来るときに夜明け前で見えなかった車窓を眺められた。18分で追分に着き、乗り換える奥羽本線の電車は20分後なので、駅前に出たりして時間をつぶす。
 大館行きは10時ちょうど発なので、1本前の9時09分発の八郎潟行きに乗る。雪で真っ白の田んぼを眺めながら走ると、女性の名前のような「井川さくら」という駅がある。
 9時26分に八郎潟に着き、50分ほど待ち時間があるので、風景印をもらいに郵便局まで歩く。知らない町を歩くのはいいものである。
 錆れた商店街を歩いて行くと、いくつかの店の前で、「志田千陽選手オリンピック出場おめでとう」と書かれたのぼり旗が風に靡いている。志田選手はこの八郎潟の出身らしい。確かに秋田美人だ。
 のぼり旗がなければ八郎潟の出身だということは知らずじまいだったから、あえて昨年のものを置いているのだろうか。

八郎潟駅
八郎潟駅

 八郎潟駅の戻り、日曜日に乗る予定の釜石線「快速はまゆり」の指定席券を券売機で買っておいた。
 10時17分発の大館行きの電車がやってきた。乗りたかった五能線が発車する東能代をすぎると、奥羽本線は日本海沿いから東の山へ向きを変える。二ツ井駅あたりはかなりの積雪だ。
 秋田内陸縦貫鉄道が分かれる鷹ノ巣をすぎると、11時28分に終点の大館に着いた。

大館駅
大館

 大館はハチ公の生まれ故郷で、比内地鶏や曲げわっぱが名産である。駅弁で知られる花善で鶏めしのランチをする。鶏めしは曲げわっぱに盛られている。
 近くの郵便局でハチ公がデザインされた風景印を捺してもらう。弘前行きは13時37分発なので、12時18分の秋田行きに乗って、来る途中で積雪が目に入った二ツ井を散策しようと思う。

大館・花善の鶏めし
鶏めし

 12時45分に二ツ井に着き、弘前行きは13時04分発なので、15分くらいの時間がある。7つの峰を持った連山の七座山、きみまち阪が名所である。
 きみまち阪には、明治天皇と皇后のロマンチックな逸話が残っていることから、恋愛成就や縁結びのパワースポットとして知られるそうである。君をずっと待っているみたいな感じもする。

二ツ井駅
二ツ井

 除雪によって雪がうず高いホームから弘前行きの電車に乗り込む。テスト期間中なのか、高校生の帰宅時間と重なって車内は混んでいる。
 昔は秋田の方言を使っていたのだろうが、今の高校生たちは東京の若者とほとんど変わらない言葉を使っている。みんな鷹ノ巣で下車して閑散となった。
 大館をすぎると県境の陣馬は今回の旅で一番の積雪である。矢立峠を越えて秋田県から青森県に入る。
 碇ヶ関をすぎて大鰐温泉が近づくと、私の前に座っている若者がそわそわしだしだした。風貌が明らかに鉄道マニアで、紙袋に荷物を入れている。
 その若者が下車した大鰐温泉のホームには、中年の鉄道マニアの数人が弘南鉄道の車両を撮っていた。
 弘南鉄道のは都心で走っていた車両なので興味は涌かないが、一度も乗ったことがないので、そのうち、りんご畑を眺めながら乗ってみたい。
 14時21分に弘前に着いた。碇ヶ関や大鰐温泉ほどではないが、弘前駅のホームも除雪した雪がうず高い。
 駅前には「HIROSAKI」の小さな文字モニュメントがあり、Oの文字がりんごになっている。こんなところで写真を撮る人がいるのだろうか?と思いながらも、とりあえず写真を撮ってしまう自分がいる。

弘前駅
弘前駅

 この後はホテルに荷物を預けて弘前城を散策、岩木山に沈む夕日を見ようと思う。ホテルは駅と弘前城の中間地点なのでちょうどよい。
 弘前は空襲を受けなかったので戦前の建物が多く残っているという。
 ここまでの電車での移動中に調べると、駅から弘前城の間にも色々と洋風建築などがあることが分かった。
 しばらく市街をぶらつき、15時になったのでホテルにチェックインして荷物を置く。身軽になって再び歩き出す。
 弘前城の追手門の近くに旧弘前市立図書館があり、1906年に建設されたというルネサンス様式の洋館を見る。
 地元の横浜にもエキゾチックな建築はあるが、うず高く積もった雪との対比が新鮮だった。

旧弘前市立図書館
旧弘前市立図書館

 1917年に建てられた文化財を利用した店舗であるスターバックスコーヒー弘前公園前店を見て、追手門をくぐる。
 写真で見た風景と違うなと思っていると、現在石垣の補修中で天守は引っ越ししているらしい。
 本丸への坂道を上がって展望デッキまでくると、岩木山は見えているが雲が多く、夕日を拝むのは難しそうだ。
弘前城から見た岩木山
岩木山

 寒い中を1時間ほど待ったが、雲は取れなかった。五能線に乗りにきたときにまた来ようと思う。
 明日は青函トンネルをくぐって函館を散策する。
(つづく)



 鈍行みちのくひとり旅
 【1日目】北海道&東日本パスで東京から盛岡、秋田へ
 【2日目】なまはげとハチ公と弘前城
 【3日目】はるばる来たぜ函館へ
 【4日目】函館からフェリーで大間へ
 【5日目】三陸鉄道・吉里吉里の砂浜とカキフライ
 【6日目】奥羽本線・峠駅の力餅で英気を養う