ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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渡島当別駅からトラピスト修道院へ


 道南いさりび鉄道は、函館から青函トンネル手前の木古内まで、左窓に津軽海峡を見ながら走る路線である。
 2016年の北海道新幹線の開業により、函館本線と分かれる五稜郭から木古内までのJR江差線が、第三セクターの道南いさりび鉄道に移管され、新しくスタートしている。
 道南いさりび鉄道の渡島当別駅からトラピスト修道院へ続く、ポプラとスギの並木道を以前から歩いてみたいと思っていたので、函館本線の秘境駅を探訪した後に行ってみることにした。

渡島当別トラピスト修道院
渡島当別トラピスト修道院

五稜郭から渡島当別へ

 2016年11月14日。
 姫川発14時08分の列車に乗って五稜郭に15時15分に着き、3分後にくる木古内に乗り換える。高校生の帰宅時間と重なり車内は混んでいて、目的地の渡島当別まで座れなかった。
 道南いさりび鉄道は観光にも力を入れているが、それは休日のみで、主には函館へ通学する高校生のための路線である。1日40便の貨物列車が走っていて、収入の80%を占めているという。
 函館から12kmほどの上磯までは函館の郊外で本数も多いが、その先は半分に減り、日中はあまり走っていない。
 新幹線開通前は上野から北斗星、大阪からトワイライトエクスプレスなどの寝台列車が走っていて、青函トンネルを抜けてこの路線に差し掛かると、夜明けの函館湾が見え、はるばる北海道へ来たなあという旅情を感じたものだった。
 上野から北海道に入るまで11時間くらいかかったが、現在は新幹線でたったの4時間、徐々に高まっていく旅情というものはなくなってしまったように思う。
 上磯や茂辺地あたりから海の向こうに函館山が見えるようになり、渡島当別には15時46分着。函館山は、山容が牛が寝そべる姿に似ているので、臥牛山とも呼ばれている。

道南いさりび鉄道・渡島当別駅
渡島当別駅

トラピスト修道院

 時刻表を確認して、函館への帰りは16時52分発の列車に決める。というよりも、その次が19時21分発では、選択肢はこれしかない。
 散策できるのはちょうど1時間で、トラピスト修道院へ行って帰ってくる程度だが、ポプラとスギの並木道を歩くのが目的だからそれでよい。
 渡島当別の駅舎は郵便局が併設されたトラピスト風の建物で、駅舎内の窓はステンドグラスになっており、キリスト像が安置されている。
 駅前の案内板にはトラピスト修道院への地図があり、描かれている「ずーしーほっきー」という北斗市の「ゆるキャラ」は気持ち悪い。

新函館北斗駅のずーしーほっきー
新函館北斗駅のずーしーほっきー

 ホッキ貝の寿司をゆるキャラにしたそうで、もう一度言うが気持ち悪い。食欲もなくなりそうだ。因みに、悪口を言っているのではなく、気持ち悪さを売りにしているらしい。
 渡島当別駅からトラピスト修道院へは約1.5km。歩き始めるとすぐに津軽海峡を望む海沿いの国道に出る。空気が澄んでいれば、下北半島や津軽半島が見えるのだろう。
 すぐに踏切を渡って右カーブを緩やかに登っていくと、長い直線のはるか向こうにトラピストの建物が見えてきた。1kmくらいありそうだ。

トラピスト修道院へ続くポプラとスギの並木
トラピスト修道院への道

 トラピスト修道院へ続く道は、ポプラとスギの並木で、緑地保護地区になっている。緩やかな坂道が延々と続き、ずっと同じ場所を歩いているような錯覚に陥るが、修道院が見えてから10分ほど歩くと、ようやく入口に着いた。
 入口の建物上部にはキリスト像が安置されている。壁に貼られた説明を読むと、トラピスト男子修道院は明治29年にフランスから数名の修道士が来日して設立されたという。
 見学時間外で門は閉まっていたが、中の建物には聖母マリア像が安置され、厳かな雰囲気だった。

トラピスト修道院
トラピスト修道院

 因みにここは女人禁制で、灯台の聖母トラピスト大修道院と呼ばれている。下の売店ではトラピストクッキーやバターなどが売られており、北海道の土産としても人気だ。
 列車の時間が迫ってきたので渡島当別駅へ引き返す。再び長い直線道路を歩いて海に出ると写真を撮る準備をしている人たちがいて、何を撮るのか尋ねてみると今日はスーパームーンで、函館山と満月の写真を撮るとのことだった。
 渡島当別駅に戻ってくると日が暮れてきた。16時52分発の列車がやってくるとホームにいる人たちがどっと我先にと乗車していく。列をつくって並んだりはしない。若い人が多く、どうやら函館市街へ遊びに行くようだ。

渡島当別駅のステンドグラス
ステンドグラス

渡島当別から函館へ

 右側のボックスシートに座り、漁火なのか函館の灯りを見ながら列車に揺られると、北斗星で北海道に来たときの光景がよみがえる。函館駅には17時33分に到着。
 函館山の夜景を見に行こうかとも思ったが、この時間からでは少し遅いようなのでまた次する。夕食は魚にしたが、「ずーしーほっきー」のホッキ貝は食べる気にはなれなかった。
 明日は新函館北斗から新幹線で帰京、この旅が終わる。

函館駅
函館駅



 北海道フリーパス 最果ての旅
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 【3日目】本土最東端から歯舞へ
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 【5日目】留萌本線を増毛へ歩く
 【6日目】北の果て 宗谷岬へ
 【7日目】宗谷本線の秘境駅探訪@
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 【8日目】函館本線の秘境駅探訪
 【8日目】渡島当別トラピスト修道院へ