石勝線夕張支線を歩く石勝線夕張支線は、2019年4月1日に廃止されることが決まっている。 全線の約16kmを散策しながら歩くつもりだったが、積雪でどこまで行けるか分からない。行けるところまで行って、次の4時間後の列車に乗ろうと思う。 夕張駅を8時40分に出発し、線路沿いのサイクリングロードを歩こうと思ったが、靴が埋ってしまうほどの積雪なので、除雪されている北海道道38号の歩道を歩いていく。 夕張駅 このサイクリングロードは、炭鉱の閉山などに伴って1975年に廃止された夕張鉄道跡を利用したものらしい。夕張鉄道は室蘭本線の栗山を経て、札幌郊外の野幌まで走っていた路線である。 多くの炭鉱が閉山となった後、観光客の誘致にテーマパークや遊園地、めろん城、サイクリングロードなどがつくられたが、財政を圧迫して2006年に夕張市は破綻したのであった。 夕張駅から清水沢駅へ歩く夕張駅からアイスバーンになっている坂を慎重に下っていく。志幌加別川を渡ると鹿ノ谷駅に着いたが、たったの1.3kmの距離で25分もかかり、この先が思いやられる。鹿ノ谷駅 駅前には郵便局や小さな会社があり、ホームは15cmほどの新雪で真っ白だが、足跡があるので何人か列車に乗ったのであろう。ずっとどんよりとしていたが、雲の切れ間から青空が覗いてきた。 鹿ノ谷から次の清水沢への駅間距離は6.6kmと長い。 10分ほど歩くと札幌・栗山への道が分かれていて、栗山まで22km、札幌まで62kmと表示されている。夕張は山中の炭鉱の街だが、わりと札幌から近い。近くに夕鉄バス本社が建っていて、札幌方面へのバスが運行している。 夕鉄バス さらに10分ほど歩くと若菜という集落に商店が並んでいて、郵便局があったので、風景印を捺してもらうと、夕張メロンのデザインであった。 若菜をすぎると、幸福の黄色いハンカチ思い出広場への道が分かれいる。幸福の黄色いハンカチは高倉健さんの有名な映画だ。1977年公開なので、当時の夕張は活気があったのだろう。 時間がたくさんあるので林道のような道を5分ほど上っていく。 営業期間は終了していたので、外から眺めるだけであったが、雪原の中に想い出の家と高く吊るされた黄色いハンカチが見えた。 幸福の黄色いハンカチ思い出広場 道道に戻り、清水沢まで何もない道が4kmほど続く。 トラックなど交通量が多く、溶けかけた雪の水しぶきを何度も受ける。ちょっと辛いが列車の時間までたんたんと歩くしか仕様がない。 炭鉱の跡地に整備されたという平和運動公園をすぎると、山中に入って志幌加別川の支流を温泉橋で渡る。夕張支線も鉄橋で渡っているのが見える。 すぐ先の平清覆道をすぎると、線路を見下ろせるポイントがあり、夕張の山峡へ消えていく列車の眺めがよさそうだ。 交通量の多い道道から離れると、11時にようやく清水沢駅に着いた。 ガランとした駅舎内には、1970年代の蒸気機関車の写真が展示してある。ホームは駅舎からだいぶ離れており、その間には操車場跡が広がっていて、昔は活気があったのが伺える。 清水沢駅 駅前にはその名残なのか、食堂、文具店、洋品店などが並んでいる。ラーメンの幟に惹かれたが、時間がなくなってきたので先へ進む。 清水沢駅から沼ノ沢駅へ歩く踏切を渡り、合流した国道452号線(夕張国道)を歩いていくと、15分ほどで南清水沢駅に到着。JRからの委託らしい窓口の女性にホームを見てよいか尋ねると「ご苦労様」と声をかけられた。廃止が決まってから訪れるファンが多いそうである。 南清水沢駅 次の沼ノ沢駅までは4km、あと1時間で歩かねばならないが、雪がだいぶ解けてきたので行けそうだ。 南清水沢から500mほど行くと、創立80周年という夕張高校があり、朝の列車で下車した高校生たちはここへ通っているようである。近くにコンビニがあったので、パンと温かい缶コーヒーを買う。 さらに1kmほど歩くと夕張川を渡るが、もうすぐ新夕張11時59分発の列車が来る時刻なので、写真を撮ることにした。 やがてビックリするほど大きな汽笛が響いて、夕張川を渡っていく列車を見送る。終点の夕張で折り返すこの列車に、沼ノ沢から乗るつもりだ。 夕張川を渡る列車 一面に広がる夕張メロンの畑を見ながら、国道を歩いていくと変わった建物が目に入ってきた。 夕張メロンの形をした農協で、夕張メロンドームと書かれている。傍らには夕張メロンのオブジェもある。 この先が沼ノ沢駅で12時30分に到着。約13kmを歩いてきたわけだが、ほぼ下り勾配なのに3時間50分もかかっている。積雪がなければ新夕張までの全線を歩けていたと思う。 沼ノ沢から新夕張、釧路へ20分ほど駅付近を散策、折り返してきた千歳行きの列車に乗り、新夕張には12時57分に着いた。沼ノ沢駅 すぐにやってきた13時02分発の臨時特急トマム行きに乗り、釧路へ向かう。臨時特急というのは、昨年の台風の影響で、トマム〜帯広間が代行バスになっているのだ。 本来なら釧路まで一本で行けるのだが、星野リゾートで知られるトマムで強制的に下車させられ、代行バスで高速道路を走り、帯広には15時頃に着いた。 時間があるので駅近くでゆっくりコーヒーを飲んで、15時53分発の臨時快速の釧路行きに乗る。特急おおぞらで使われている車両である。 帯広駅 特急券の要らない快速列車なので乗客が多いのかと思いきや、車内はガラ空きだ。 16時すぎて日が暮れると、駅周辺以外は街灯もなく真っ暗闇で、ディーゼルの走行音だけが響いている。 乗客もほとんどなく、いったいどこを走っているのか、どこに連れていかれるのかと不安になったりもしたが、18時頃に釧路に着いた。 明日は本土最東端、根室の納沙布岬へ行く予定である。 (つづく) |
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