秋の乗り放題パスの旅@ 東京から青森へ
東京から北海道へ、鈍行列車で行ってみたいと思っていた。もちろん一本で直接行ける列車はなく、10回くらい乗り継がなければならないのだが、ゆっくりと時間をかけて行ってみたい。
早朝に出発すると、新幹線であれば昼前には北海道に上陸できるが、鈍行列車では翌日になってしまう。それほど北海道は遠いのだ。少しずつ北への旅情を感じながら、鉄道で行ってみようと思う。
幸い、この旅をする上で打ってつけの「秋の乗り放題パス」というきっぷがある。これは青春18きっぷと同じようなもので、10月の2週間ほどの期間内で連続3日間、JRの普通列車に乗り放題のきっぷである。
今回はこれを使って東京から青森へ、さらに青函トンネルを抜けて北海道まで足を延ばし、鈍行列車の旅を楽しみたい。秋の乗り放題パスを2回分で6日間、その後に4日間の合計10日間の予定にしている。
青森駅
東京から東北本線で盛岡へ
2017年10月17日。
秋の乗り放題パスの旅 1日目は、東京から青森まで普通列車で行く。途中、新幹線の延伸によってJRから第三セクターに変わった箇所では改めて乗車券を買う必要があるので、そこだけは新幹線を利用しようと思う。
最寄りの大船駅に着くと、乗りたい列車まではまだ時間があるので、先発の列車に乗ることにする。
今日はずっと乗り続けで、腰が痛くなりそうなので、宇都宮までのグリーン券を買っておいた。火曜日なので通勤客で満員だが、グリーン車にはわずかな空席があり、なんとか座ることができた。
上野で7時57分発の快速ラビット・宇都宮行きに乗り換える。時刻表で調べると、この快速に乗るのが最も乗り継ぎがよい。
上野
グリーン車の二階は眺めがよく、大宮をすぎると田園風景に変わった。今日は秋晴れで気持ちのよい車窓が流れていく。
久喜、古河、小山などで乗客が下車して車内が閑散となり、9時27分に宇都宮に着いた。4分後に発車する黒磯行きはすでに入線して、慌ただしく乗り換える。
宇都宮
ところで宇都宮は餃子で有名だが、実は駅弁の発祥地で、初めてつくられたのは明治18年のことらしい。当時の駅弁は、おにぎり2個と沢庵のみで、竹の皮に包んであったという。
那須高原への入口である黒磯に10時21分に着き、10時25分発の新白河行きのディーゼルカーに乗り継ぐ。なぜここだけディーゼルカーなのか分からないが、電車と違って旅に出ている感じがしてよい。
黒磯
福島県に入って新白河でふたたび電車に乗り継ぐと11時32分に郡山に着いた。
乗り換え時間が短く、非常に慌ただしいが、列車本数が少ないので仕方がない。一本後の列車になると、青森に到着するのが数時間遅れるので、ありがたいと思うべきだろう。
郡山11時40分発の列車に乗り、二本松をへて福島へ向かう。
郡山
安達太良山やほんとの青い空を眺めていると、二本松の岳温泉から安達太良山に登ったことを思い出した。当時の岳温泉は、独立国のニコニコ共和国と称して観光客を誘致していたのだが、現在はどうなっているのだろうか。
福島には12時28分に着いた。ここでは12分の待ち時間があるので、とりあえずトイレに行っておく。列車内にもトイレがあるが、混んでいる通勤型の電車では行きにくいものがある。
福島からは仙台シティラビット5号という快速列車で、大都市仙台に近づくにつれて混んできた。そろそろ腰も痛くなってきて、仙台には13時55分に着いた。
仙台
仙台では次の列車まで40分あるので、ようやく昼食にありつける。ゆっくりと名物の牛タンでも食べたいところだが、それほど時間に余裕はないので、駅構内の立ち食いそばで済ませた。新幹線なら駅弁でもよいのだが、普通列車で駅弁など食べている人はまったくいない。
仙台14時35分発の列車に乗り、小牛田と一ノ関で乗り継ぐ。一ノ関のすぐ先は世界遺産の平泉で、いつか中尊寺金色堂や毛越寺庭園を訪れてみたいと思う。
一ノ関
仙台までは進行方向を向いて座る車両で車窓を楽しめたのだが、仙台からは窓に背を向けて座るロングシートで、景色が見れずウトウトしていたのであまり覚えていない。
盛岡に18時04分に着くと、すでに日が落ちて真っ暗だ。
盛岡駅
盛岡から東宝新幹線で八戸へ
盛岡から八戸までは第三セクターのIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道なので、秋の乗り放題パスは適用されず、別に乗車券が必要で3040円かかる。新幹線の乗っても乗車券と特急券を合わせて3500円と大差はないので、この区間だけ新幹線に乗ることにする。
青森には1時間早く着ける。生粋の鉄道ファンであれば新幹線には乗らないのだろうが、私はそこまでではないので心は痛まない。
盛岡のわんこそばや冷麺も魅力だが、18時37分発の「はやぶさ」に乗る。
私が買ったのは安い立席の特急券で、席が空いていれば座れるのだが、満員だったので八戸までは30分の立ちだ。ここまでずっと座りっぱなしだったので、腰や背中が伸ばせて楽に感じる。
デッキで流れていく疎らな灯りを眺めて、19時07分に八戸に着いた。
八戸
八戸から青い森鉄道で青森へ
新幹線の改札を出て在来線のホームに降り、再び秋の乗り放題パスを使用して、八戸からは「快速しもきた」に乗って野辺地へ向かう。車内は通勤通学帰りの人たちで混んでいる。
八戸
20分ほどの三沢で席が空いて、20時1分に陸奥湾に面した下北半島への分岐点である野辺地に着いた。
ホームにある日本最古の鉄道防雪林がライトアップされて青い森になっている。
野辺地の鉄道防雪林
時間があるので駅前を散策するが、店はすべて閉まっている。ホームに戻って20時20分発の青森行きに乗車。今日はこれが最後の列車である。
だんだんと車内が閑散として、上野を出発してから約13時間、21時7分に青森に着いた。新幹線を含めて11本の列車を乗り継いできた訳だ。
青森
駅前に出ると、すでに今日が終わったような寂しい感じになっている。今晩泊まるホテルは駅から徒歩20分ほどで遠い。
明日は青森6時15分発の津軽線・蟹田行きに乗るので、起きるのは5時前である。食事をする店を探している時間はないので、コンビニで食料を仕入れて、閑散とした通りをとぼとぼ歩いてホテルへ向かった。
(つづく)
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