ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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秋の乗り放題パスの旅B
苫小牧から釧路へ


 「秋の乗り放題パス」で東京から北海道の釧路まで旅をする3日目。昨日は青森を出発して大沼を散策した後、普通列車で苫小牧までやってきた。
 今日は普通列車を乗り継いで苫小牧から釧路まで行くことにしている。途中、近いうちに廃止される石勝線夕張支線も散策しようと思う。

苫小牧から沼ノ沢へ

 2017年10月19日
 苫小牧6時10分発の室蘭本線・岩見沢行きに乗り、追分へ向かう。昨年の11月に来たときは、安平や早来の辺りでだいぶ雪が積もっていたが、今はまだ10月の半ばで雪はない。

苫小牧駅・岩見沢行きの普通列車
苫小牧

 6時46分に追分に着き、夕張行きの列車まで22分あるので、近くを散策する。追分は石炭輸送の要衝だったところだから、駅構内は広大である。
 跨線橋から眺めていると、昔ながらの長大なホームにちょこんと停車していた千歳行きの普通列車が、通学の高校生を乗せてゆっくりと出発して行った。

広大な室蘭本線・追分駅の構内
追分駅

 追分駅に戻って夕張行きの一両の列車に乗る。乗客は数人で空いている。川端をすぎると夕張川沿いの竜仙峡の紅葉の車窓が流れていく。

追分駅・夕張行きの普通列車
追分・夕張行きの列車

 7時41分に新夕張に着くと、7分の停車時間があるのでホームに下りる。石勝線が開通する以前の夕張線の時代は紅葉山という駅名だったこともあり、紅葉が似合う山間の駅である。
 以前はここから高校生がたくさん乗ってきたが、だいぶ少なくなったようだ。これが廃止される原因なのだろう。

石勝線・新夕張駅
新夕張

 紅葉した夕張川を渡って、7時53分着の沼ノ沢で下車。昨年は終点の夕張から新夕張まで歩くつもりだったが、積雪の影響でこの沼ノ沢までしか歩けなかった。
 次に乗る新夕張10時01分発の「スーパーおおぞら」まで2時間ほどあるので、ここから新夕張まで歩くことにしている。

夕張支線・沼ノ沢駅
沼ノ沢

 その前に夕張メロンドームの農協近くから、夕張駅で折り返してくる列車を撮影しようと思う。
 国道脇の跨線橋で30分ほど待つ。時間になって動画も撮っていたのだが、列車と同時にうるさい選挙カーもやってきた。
 あとで再生してみると、列車の音は選挙演説にほとんど掻き消されていた。どうやらその方は当選されたようなので、財政破綻した夕張を何とかしてもらいたい。

夕張メロンのビニールハウスと千歳行きの列車
千歳行きの列車

 沼ノ沢から夕張国道を歩いていくが、車は疎らでまったく人気がない。やがて「夕張メロード」という道の駅まで1kmの表示が現れ、夕張川を渡ると右に夕張支線、左に根室本線が見える。
 両岸や奥の山が黄葉していて綺麗な夕張川を眺め、沼ノ沢から50分ほどで新夕張駅に着いた。道の駅では夕張メロンが1個4000円で売られていた。

紅葉の夕張川
夕張川

 紅葉山の駅名標を見たり、窓口で駅スタンプを押したりして列車を待つ。
 ホームに上がって新夕張10時01分発の特急スーパーおおぞらに乗車。ここから新得までは普通列車が走っていないので、乗車券のみで特急の自由席に乗れる区間である。
 自由席の乗車率は高かったが、窓側の席が空いていたので座ることができた。

新夕張駅・スーパーおおぞら
新夕張・スーパーおおぞら

 新夕張から新得へは約90kmもあり、途中駅は占冠とトマムの2つだけである。
 トマムをすぎると、新得へ向かって山をぐんぐん下っていく。十勝の広大な牧草地が北海道らしく、スーパーおおぞらの名の通りで抜けるような青空だ。

スーパーおおぞら・十勝の車窓
スーパーおおぞらの車窓

 車窓を堪能して11時06分、新得に着いた。途中下車して付近を散策、炭鉱夫の像が立ち、カエデの紅葉が鮮やかだ。
 新得は蕎麦の産地である。気温の寒暖差が大きいことが蕎麦を美味しくするという。店を物色する時間はないので、駅舎内で新得そばを食べる。太い麺で歯ごたえがあり、美味しかった。


新得駅

 明日と明後日は釧路の周辺を散策、3日後に新得に戻って代行バスで狩勝峠を越える予定にしている。
 新得発11時46分の帯広行きに乗り、畑が広がる広大な十勝平野を駆け抜けていく。
 12時36分に帯広に着くと、6分後に発車する釧路行きの普通列車がすでに入線して、朱色なので国鉄時代を思わせる。
 車内は買い物帰りらしい地元の人たちで混んでいたが、何とか座れた。

帯広駅・釧路行きの普通列車
帯広

 帯広の圏内がすぎると車内は閑散となり、10分ほど停車する池田で途中下車。ワインの街らしく、駅舎は赤ワイン色に縁取りがされ、駅前にはコルク抜きのオブジェがある。

池田駅・ワインオープナーのオブジェ
池田

 浦幌でも6分ほどの停車時間があり、駅スタンプを押すなどする。厚内をすぎると太平洋に出て、この先は海に近づいたり離れたりしながら白糠へ向かう。
 途中駅の名前が直別、尺別、音別とあり、なかなか覚えられない。

根室本線・太平洋の車窓
車窓

 白糠駅でも5分ほどの停車時間があり、外に出て駅舎を眺めたりした。

根室本線・白糠駅
白糠

 かつてここから出ていた白糠線は、昭和58年に開業からわずか19年で廃線になっている。北進から足寄まで延伸させる計画があって、終着駅の名前を北進としたという。

白糠駅・釧路行きの普通列車
白糠

 徐々に日が傾いて、大楽毛から釧路の市街地に入り、はほとんど乗客がないまま16時10分に釧路に着いた。

釧路駅
釧路

 3日間かけて東京から釧路にたどり着いた。列車に乗るだけが目的ではないので、明日からは名所を観光しようと思う。
 明日は釧路湿原を散策することにしている。
 (つづく)

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