ローカル鉄道の時間旅行
杉森涼
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有珠山と昭和新山


 3日目は有珠山に登って洞爺湖などを散策、今日も宿泊する室蘭へ戻って測量山から夜景を見ようと思う。 昨日、渡島駒ヶ岳へ登って2日連続の登山になるが、筋肉痛もなく脚の調子がよい。
 有珠山からは洞爺湖や羊蹄山、噴火湾などの展望が素晴らしいというので楽しみだ。

 2015年10月。
 ホテルを出てまだ暗い中を歩き、東室蘭発5時50分の普通列車長万部行きに乗るのだが、ホームは閑散としている。
 3両編成の列車は10人ほどの客を乗せて出発、噴火湾沿いの室蘭本線を北西へ向かう。
 6時15分に北舟岡という駅に着くとホームは海に面していて、雲が多いが朝焼けが美しく、一度下車してみたくなる駅である。
 有珠に6時29分着。ここから歩いて有珠山へ登る。有珠山の山頂は噴煙を上げているので、正確に言えば登るのは有珠山の外輪山だ。

有珠駅
有珠駅

 ガランとした無人の駅舎内で靴ひもを結び直して出発。国道37号線を北西へ数分歩き、右折して有珠山方面への道に入る。
 右に有珠駅が見える踏切を渡り、道標にしたがって寂しい集落を歩いていくと、中腹から噴煙が上がっているのが見える。
 駅から徒歩25分、道央自動車道をくぐるとすぐ登山口に着いた。
 案内板には「遊歩道」と「登山道」の表示があるのだが、私は遊歩道とはこの辺りを散策する道だと勘違いしてしまった。
 後で地元の人に教えてもらったのだが、遊歩道が登山者が一般的に歩く道で、登山道とは昔の車道だという。確かに私が登った道は、ずっと広い砂利道で変化に乏しかったが、少し紅葉が残っており、早朝の空気が清々しかった。
 50分ほど緩やかに登ると、8時前に外輪山遊歩道の中央部の火口原展望台に飛び出した。
 この展望台では左から小有珠(1663年)、有珠新山(1977年)、オガリ山(1822年)、大有珠(1853年)を一望できる。年代は噴火によって形成された年である。
 左には銀沼火口があり、噴煙が上がっている。
 まずは外輪山遊歩道を東へ、ロープウェイの山頂駅へ向かう。
 傍らに薄っすらと雪が積もった、草原につけれれた道を歩いていくと、傾斜45度、269段の木の階段が現れた。
 一ヶ所だけ踏板が壊れていて躓いたが、階段を登りきると銀沼火口を見渡せる展望台だ。大きな火口から噴煙が上がっており、遠くにはわずかに洞爺湖も見えている。
 荒々しいが脆そうな山肌の有珠山頂(標高733m)を見るとロープウェイ山頂駅に着いた。
 ここには大きなウッドデッキの展望台があり、左には洞爺湖、右には標高398の昭和新山が下方に見渡せる。

洞爺湖と昭和新山
洞爺湖と昭和新山

 昭和新山は有珠山の噴火により、畑が隆起して1945年にできた山だ。こちらも噴煙が上がっている。
 展望台から見下ろすとアメーバ、または蜘蛛がうごめいているように見える。洞爺湖は四方を山に囲まれて、巨大なカルデラということがよく分かった。
 ロープウェイで観光客がたくさん上がってきたので、そろそろ出発しよう。山麓の昭和新山駅からロープウェイに乗れば、たったの6分だそうである。
 ふたたび火口原展望台まで戻り、左に噴火湾を見ながら西へ歩いていくと、渡島駒ヶ岳が海に浮かんでいる。
 途中に下山口の標識があり、ちょうど登ってきた地元の方に尋ねると、こちらが山登りの道だという。すぐ先の行き止まりが南外輪山展望台であった。
 洞爺湖の向こうには、少し靄がかかっているが、山頂が雪で白くなった羊蹄山が見えて眺めがよい。
 ロープウェイ山頂駅からここまで約1時間、観光客はここまで来ないのでとても静かだ。

洞爺湖と羊蹄山
洞爺湖と羊蹄山

 しばらく休憩して、登山口まで2.6kmの遊歩道を下る。まだ10時なので、これから洞爺湖畔や西山散策路に行くつもりである。
 何人か地元の登山者がいて、ここは活火山なのでヒグマはいないが、内陸に入ったホロホロ山やオロフレ山にはよく出るという。
 紅葉が残る道を下って、11時に登山口に戻ってきた。
 有珠駅までの車道を歩き出すと、後ろから来た車が止まり声をかけられた。先ほど下山で会った人で、有珠駅まで乗せてくれるという。
 札幌からたまに登りに来ているそうで、いろいろを教えていただいた。駅近くの踏切は北斗星やトワイライトエクスプレスなど、撮り鉄の人たちでいっぱいになったらしい。
 有珠駅に戻り、近くの郵便局で風景印を捺してもらう。
 この後は路線バスで西山散策路、さらに洞爺湖畔へ向かうことにする。
 (つづく)

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